こんにちは。英語発音トレーナーの中野渡(なかのわたり)です。
私は、留学時代に発音が原因で相手に英語が通じず大変苦労しました。
そんな私が努力の末に発音を上達させた結果、英語発音技能検定1級取得。会社の同僚から「発音上手ですね。教えて欲しいです」と言われるまでになり、2010年からトレーナーをしております。
著書「帰国子女ではない私がどうやって通じる英語の発音を身につけたか」
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「リスニングが苦手」
「こんだけ勉強しているのにちっとも上達しない・・・」
「映画やドラマを字幕なしで観れるようになりたい!」
そんな方へ短期間で英語のリスニングが上達する3つのコツをご紹介します。
※この3つのコツはあくまで英語を話せるようになることが目的の方向けです。 受験やTOEICなど、限定的にリスニング力を身につけたい方向けのコツは別の機会にご紹介したいと思います。
まず、大胆なことを言います。
リスニングの勉強は今日からやめましょう。
「???」
と思ったかもしれませんが聞いてください。
今まで皆さんは受験やTOEICのためにリスニング用の教材を購入して何度も繰り返し音声を聴いたりしたのではないでしょうか。
または、聞き取れないのは単語力がないからだと思って単語を夢中に暗記したのではないでしょうか。
でも、上達しましたか?
私も多くの方と同様に大学受験の為にリスニングの勉強(繰り返しCDを聴く)をしましたが、結局上達しませんでした。
ところが、オーストラリアに留学した結果、2カ月後に急に耳が慣れてきて、相手が言っていることが急に聞き取れるようになり始めたのです。
英語で夢を見始めたのもこの頃でした。
正直、その間にリスニングの勉強は一切していません。
そして、1年後に一時帰国した際、TOEICを受けたところ770点を取ることが出来ました。
この際も、過去問を1度解いただけでリスニングの勉強はしていません。
こんな事実をご存知ですか?
日本では高校生の時点で平均で2,000語の英単語を身につけているそうです。
ちなみにアメリカの5歳児は1,000語程度だそうです。
5歳児と言うと結構コミュニケーションも取れますよね。 つまり私達は思った以上に英単語を身につけていて、しかもこのサイトをご覧になっている方々は大人になってからも英語の勉強を続けられている方がほとんどだと思いますので、一般の方より英単語を知っていることになります。
それなのに多くの方がリスニングが出来ない、なかなか上達しないのは決してボキャブラリー不足なのではありません。
では、どうしてなのでしょうか。
英語のリスニングが出来ない原因
<原因①:単語の正しい発音を知らない>
皆さんは発音記号を読めますか?
そもそも、発音記号をご存知でしょうか?
辞書で単語を調べると、意味や品詞と並んでその単語の読み方(発音)を表す記号が記載されています。
それが発音記号です。
例えば、Englishと辞書で調べると、
【íŋgliʃ】
というように発音記号が書かれています。アルファベット1つ1つの発音が正しく出来、発音記号の読み方を知っている人は、発音記号を辞書で調べるだけでほとんどの単語を正しく発音することが出来るのです。
しかし、大半の人が新しい単語が登場した際に辞書で意味を調べると思いますが、発音記号は調べていないのではないでしょうか。
それどころか、調べもせずにスペルから読み方を推測してしまう傾向があると思います。
また、過去に習った先生の影響により誤った発音を身につけてしまっている方も多くいらっしゃいます。
例えば、誰もが知っているboxという単語を皆さんはどのように発音されていますか?
大半の方が【ボックス】と発音していると思いますが、辞書で調べてみると
【bɑ́ks】
となっています。 つまり【バックス】と発音するのが正解なのです。
しかしながら、私達はいつの間にか【ボックス】と発音しています。 これはカラオケボックスなどのカタカナ英語や、あなたが習った英語の先生の発音、スペルから来る先入観などが原因ではないでしょうか。
※イギリス英語では【ボックス】と発音します。
次に、スペルでその単語の読み方を判断してはいけない例をご紹介します。
indictという単語をどのように発音すると思いますか?
ちなみに【インディクト】ではありません。
辞書で調べてみると発音記号はこうなっています。
【indáit】
【インダイト】と発音するのです。
たったこの2つの例だけでもあなたの先入観により知っている単語でさえ聞き取れないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
<原因②:英語の発音の変化を知らない>
以前にも「あなたの英語の発音がネイティブに通じない理由」の中で書きましたが、英語は文章になると音が3つに変化します。
・くっつく
・消える
・他の音になる
例えば、皆さんご存知のthank you. これを【センキュー】と読むのは英語を話さない人でもご存知と思います。
誰も【センク ユー】と分けては言いませんよね。これは、thankのkとyouがくっついて「キュー」となることが理由です。 thank you以外にも多くの単語同士がこのようにくっつきます。
また、hot teaのようにhotのtとteaのtという同じ音が連続した場合、片方の音は消えてしまいます。
そして、5W1Hの後のdid youは【ディジュー】でも【ディドゥユー】でもなく【ジュ】という全く異なる音に変化したりもします。
こちらの動画をご覧ください。
音声を聴くだけで英語が話せるようになる!との謳い文句の教材がありますが、これら上記のルールを知らずに相手が言っていることを聞き取れるはずがありません。
<原因③:頭の中で英語を日本語に訳してしまう>
私は仕事がらたまに簡単な会議通訳的なことをするのですが、これが非常に疲れるんです。 なぜなら相手が言っていることを日本語に訳したり、逆に日本語を英語に訳したりして他人に伝えなければならないからです。 通常、自分だけで相手とコミュニケーションを取っている時別に疲れません。
なぜこんなに疲れるのか考えて気がつきました…
普段、外国の友人などと一人で英語で会話する際、いちいち英語を日本語に訳していないんです。
私も留学以前は、リスニング用教材を聴きながら一語一語を拾いながら頭の中で訳していましたが、それでは絶対に追いつけないんです。
英語のリスニングが上達する3つのコツ
<コツ①:リスニング力ではなくスピーキング力を上げる>
これは私が実際に留学した際に経験したことですが、留学初日、ホームステイ先のお母さんから家の中を案内され、夕食の時間やシャワーの使い方などを教わりましたが全く何を言っているのか分かりませんでした。 しかし、努力したからと言って次の日からすぐに相手が言っていることが分かるわけがありません。 そこで、「とにかく自分が言いたいことだけでも伝えられるようになろう」と考え、質問事項(例、駅は近いですか?)を考え、それを辞書やテキストを使って文章を作成し、暗記しました。 すると、不思議なことに相手が言っていることが何となく分かり始めたんです。
よくよく考えると少しも自然なことではありません。 例えば、あなたがテニスが好きで、テニスに関する質問を相手に投げかけたとしましょう。 すると、もちろん相手はあなたの質問に対して回答をしてくるので何となく相手が何を言っているのか推測できますよね。 日本語でもそうですが、相手が急に質問してくると準備が出来ていないので時々頭がフリーズしてしまいませんか? 特にそれが英語で、知らない単語も沢山あるとなると到底相手の言っていることを理解することは難しくなります。 という経験と理屈から私はリスニングではなくスピーキングを先ずは身につけることを推奨しています。
<コツ②:単語ではなく文章で覚える>
上記のとおり、私は留学当初「自分が言いたいこと」を文章で暗記しました。 なぜなら単語だけを暗記しても単語だけで誰かと会話することってありませんよね?
その単語を使ってどういう文章を作るかまでを考えるのがとても重要なのです。
文章を頭の中で作るのに必要になるのが英文法の知識です。
私が普段英語で話す際、何を頭の中で考えているかというと
「過去の話だから過去形だな」
「未来の話だから未来形だな」
「仮定の話だから仮定法だな」
みたいなことです。
英文法の知識がないと頭の中で文章を作ることが出来ません。
<コツ③:発音ルールを身につける>
英語の発音のルールはたくさんあります。
全てを身につける必要はないと私は思いますが、絶対に身につけなければならないものがいくつかあります。
それを実感するのにいい方法があります。
あなたの好きな洋楽を歌詞を観ながら聴いてみてください。
すると、「え、今のとこ歌詞と全然違う」とか、「はや!」という箇所がいくつも出てきます。
なぜなら上記のとおり英語の音は変化するからです。
英語の発音習得なしにあなたのリスニング力が上達することは決してありません。
まとめ
皆さんは「English Deaf」という言葉をご存知でしょうか?
ある台湾の学生がいました。 彼女は台湾の大学では英語の成績が非常に優秀で、卒業後にアメリカに渡ったのですが、周りの人々が話していることが全く聞き取れなかったそうです。
なぜなら、人の脳にはフィルターがあって、聞き慣れた音や自分で言える音は耳に入りますが、聞き慣れない音や自分で言えない音は耳に入らないのだそうです。
このことから、発音は決してスピーキングの為だけに重要なわけではなく、リスニング上達の為にも身につける必要があるということが分かっていただけると思います。
あなたが英語のリスニングを上達させるコツは
①リスニングではなくスピーキングの勉強をする
②単語ではなく文章で覚える
③発音ルールを身につけ、英語の音の変化を覚える
の3つなのです。
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